RMT業者を涙目にする方法を考えてみた

◆ 「仮想通貨」不正に巨額換金 それでも「没収」されない不思議
http://www.j-cast.com/2007/10/24012544.html
◆ 仮想通貨の損害認めず 東京地裁 オンラインゲーム
http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200710240008.html


読みゲーのDENさんは言いました:

RMTで稼いだ金額は5800万。 判決は 330万円の支払い。
 内容的には盗んだ車でタクシー業を営んだけれど 法に触れるのはその車についているマークが示す本来のタクシー会社の信用毀損だけ。稼いだ金は関係ない って言われているようなものかなぁ。
 先生!そこのところ詳しく → しるふぃさん

先生召還されてることに今気が付きました!(w ←毎日読みゲーさんは見てるはずなんだけどな
そんなわけで、今日は電車の中でどうやったらRMT業者を涙目に出来るか考えてましたので、その成果をご紹介します。

まず、今回の事件について整理。

運営システムを使って不正にZenyを増やしてRMTしたガンホーの社員が捕まったのが今回の事件ですね。ガンホーの社員は5800万円の利益を得ていたそうで、ガンホーは損害賠償の支払いを求めて社員を訴え、330万円を支払うようにという判決が出たわけです。


まず、今回のポイントは、裁判で払えと言ったのがあくまで「損害」の「賠償」であるという点。
日本の裁判システムでは、悪いことをした人にお金を払わせる根拠は、「損害賠償」しかありません。(刑事裁判まで含めれば「罰金」も入ります)(あ、慰謝料は精神に対する損害賠償ね)


今回の例では、単にシステムに入り込んでZenyを増やして他のユーザーに売っただけ、直接の金銭的損害はガンホーには与えていません(裁判所の認定によれば)。もしガンホーに5800万円の損害を直接与えていたのならまず間違いなく5800万円の損害賠償が認められるのでしょうが、この場合は残念ながら。


そういうわけで、今回は「ガンホーに対するイメージを悪化させた」、つまり世間に「癌呆はこんな社員だらけなのかよwwwうぇwwwww」と思わせて、信用を傷つけたという損害に対する賠償を求めています。しかし、何円分の信用が傷つけられたかなんて簡単に計算することはできません。判決によれば「元社員が不正に得た金額は、信用の損害額を計算する根拠の1つにすぎない」のですが、現実的に解釈すれば「何円不正に稼いでいたとしても信用損害にはあんまり関係ないよ」と言っているに等しいと思いますし、ぶっちゃけ妥当だと思います。


というわけで、今回は、たとえば某動物病院が2ちゃんねるで中傷された事件(賠償金は総額400万円:地裁判決)とかを参考にして、330万円という数字を出してきたのでしょう


もう一つ重要なことに、(J-CASTでも指摘されていますが)今回はあくまで「社員が」不正を働いたために損害賠償が認められたのであって、一般のRMT業者なら、少なくとも同じ理屈では訴えることすらできないでしょう。RMT業者丸儲けです。

休憩:アメリカなら

アメリカでは、現実の損害額に対する賠償だけでなく、それ以上の賠償を可能にする「懲罰的損害賠償」というのが認められているというのは有名な話(実は英米法を取り入れている国では普通らしい)。というわけで、これをアメリカでやったら普通に5800万円以上の賠償が認められるような気がします。
もっとも、これはマクドナルドのコーヒーでやけどして3億円ゲットと同じ理屈になるので、どっちがいいかはアナタ次第♪

もっと払わせる根拠を考えてみる

なんとかRMTが直接会社に損害を与える理屈を考えてみたところ、こんなのはどうかというアイディアが出てきました。

RMTをすることによって、買った人はゲームにログインすることなくZenyを手に入れることができる。つまり、RMTによってユーザーはZenyを得るために必要だったはずの期間、月会費を払わなくても済むことになったわけで、その分の会費についてガンホーは損害を受けている。

すばらしい理屈だと思ったのですが、記事によれば「オンラインゲームの課金収入(会費)が減少した」ことも裁判で主張していたようで、「この男性の不正行為と直ちに因果関係を有する損害とみることはできない」と蹴られているようなので、つまりは残念でした。


というわけで、今回は悪の前に社会は負けてしまったのでした。ちゃんちゃん。
まあ普通に考えればRMTで買うような人たちってその分のZenyを地道に稼ぐなんてことはしないだろうからなあ・・・

RMTが犯罪になるような規約を考えてみる

規約で、「RMTは規約違反」「RMTで買ったZenyは取り消す」ということを厳密に規定してみましょう。

この場合、RMTの業者がユーザーにZenyを売って、それがバレてユーザーのZenyが取り消された場合、RMTの業者は何も知らないユーザーを騙してZenyを売っているという可能性が出てきますよね。これが認められれば詐欺成立で逮捕です。


詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役に加えて詐欺で得た収益の没収ですので、RMT業者は見事に涙目になるでしょう。


ただし、(今Wikipediaで読んで知ったんですけど)ユーザーが規約違反であることを暗黙の内に知っていた場合には(RMTが悪いことだって考えずに買う人がいるとも思いたくないけど)詐欺は未遂になる(それでも罰せられますけど)ようです。


さらに、これで業者が1回逮捕されたら、RMT業者はホームページの注意書きで「RMTは規約違反なので見つかったら取り消される」という旨を明示するようになるでしょう。そうなったらもはや詐欺ではなくなります。売れ行きは落ちるかもしれませんが、まあRMTビジネスは永遠に続くでしょう。

最終報告!これがRMT業者を涙目にする方法だ!

ガンホーがRMTを始める。


一体何を言ってるんだというアナタ、ちょっと聞いてくださいな。


もちろんガンホー以外のRMTは規約違反だというのが前提です。
んで、ポイントは法外な値段で公式RMTを行うということです。今ぐぐってみたら100万Zenyが300円らしいので、じゃあ3万円ぐらいで売りますか。ほとんど売れないでしょーねー。


するとどうなるかというと、RMT業者(の持っているキャラ)が、ガンホーとのユーザー登録規約に反して、仮に100億Zenyを計300万円(100万Zeny/300円)で売った場合、本来ならガンホーが得られるはずだった100億Zeny分の売り上げを不当に奪ったことになります。その損害額、なんと3億円。


業者涙目ww


実際にはガンホーがZenyをそんなに売れる可能性は無いに等しいので、3億円の損害賠償が認められることはないと思います。しかし、RMT業者の契約(規約)違反の行為がガンホーの公式RMTビジネスに与える影響はより直接的になり、裁判所としてもRMT業者を擁護する理屈なんて全くないので(基本的に裁判所は法律の範囲内なら社会正義とかを重視する物です)、少なくともRMT業者の利益分の300万円の損害賠償は認められると思います。


以上、法律の資格なんて行政書士ぐらいしか持っていなくて、しかもそれ何年前の話だよもう忘れたよって感じのしるふぃさん(理系)の妄想でした。

追記:ふと思ったけど

RMT行為がゲーム全体を台無しにしたという主張をするのがゲーム会社としては一番筋が通っているような気がするけど、やっぱり「実際にゲームが滅茶苦茶になった」という事実を提示できないからあきらめたのかなあ。